ナチュラルワインとは?
いにしえが考える、もうひとつの捉え方
ナチュラルワインという言葉には、無添加、自然酵母、無濾過など、いくつかのイメージがあります。 それらは確かに大切な要素です。 けれど、いにしえがより大切にしているのは、ぶどうがどんな環境で育ったかということです。
生きものが多様に関わり合う畑で育ったぶどうは、その関係性の中で本来の力を発揮しやすくなる。 その結果として、香りや味わいの広がりが生まれてくる。 私たちは、そんな視点からナチュラルワインを見つめています。
ナチュラルワインの一般的な捉え方
ナチュラルワインとは、できるだけ自然に寄り添った方法で造られるワインのことです。 一般的には、農薬や化学肥料に頼りすぎない栽培、自然酵母による発酵、酸化防止剤の使用を抑えること、無濾過・無清澄などが特徴として語られます。
ただし、ナチュラルワインには世界共通の明確な定義があるわけではありません。 だからこそ、生産者ごとに大切にしている基準や思想には違いがあります。
いにしえもまた、ナチュラルワインを大切にしています。 ただ、その入口は少し違います。 添加物の有無や製法の違いだけではなく、生態系の豊かさが味わいにどうつながるかを起点に考えています。
生きものと共にある畑から考える
いにしえの畑では、生きものを排除してぶどうを守るのではなく、さまざまな命と共にある環境の中でぶどうを育てようとしています。 草花、微生物、昆虫、鳥、獣。 それぞれが関わり合い、一つの生態系を形づくっていく。 私たちは、その複雑で豊かな関係性が、果実の香りや味わいにも影響しているのではないかと考えています。
命を排除することで成り立つ畑ではなく、命と共にあることで、より美味しい作物が育つ畑です。
やればやるほど自然が豊かになる農業。 だからこそ、飲むほどに自然が豊かになる。 私たちは、その仕組みをワインというかたちで育てていきたいと考えています。
一問一答で見る、いにしえのナチュラルワイン
- 一般のワインは、品質を安定させるために人の技術で仕上げていく飲み物。
- 一般的なナチュラルワインは、できるだけ自然に寄り添って造られるワイン。
では、いにしえはどう考えるか。
いにしえでは、ワインをどんな環境で育ったかという過程ごと味わうものと捉えています。
果実だけを見るのではなく、その背景にある畑の関係性まで含めて、一つの味わいだと考えています。
- 一般のワインは、収量や品質を安定させるため、管理された環境の中で育てることが多い。
- 一般的なナチュラルワインは、農薬や化学肥料を控え、自然に近い形で育てることを目指す。
では、いにしえはどう考えるか。
いにしえでは、自然に近づけるだけではなく、自然の関係性そのものを畑の中に育てていくことを大切にしています。
草、虫、微生物、さまざまな植物が共に存在し、畑が一つの生態系として働く状態を目指しています。
- 一般のワインでは、糖度や収量、見た目の整い方、品質の安定などが重視されることが多い。
- 一般的なナチュラルワインでは、健全なぶどうを自然な方法で育てることが大切にされる。
では、いにしえはどう考えるか。
いにしえが目指しているのは、生態系を豊かにすることで良質なぶどうを収穫することです。
生態系が豊かであること自体を大切にし、その結果として、ぶどうが美味しく育つことを目指しています。
いにしえでは、植物が本来持っている生存戦略に注目しています。 植物は、多様な生きものとの関わりの中で生きています。 その関係性が豊かであるほど、植物が本来持つ代謝が引き上げられ、香りや食味に広がりが生まれると考えています。
ワインの味わいは、糖度、酸度、タンニン、アルコール、香りの成分、旨みなど、さまざまな要素で構成されます。 いにしえでは、こうした要素の奥行きが、多様な生態系の中で育つことでより豊かになることを期待しています。
起点となる作業の一つが、草刈りの考え方です。 ただ一律に草を刈るのではなく、下草の勢力を分散させるように間引きを行います。
すると、その間引きによって生まれた余白に、また別の植物が茂ってきます。 その過程で植物の種類が増え、多様性が広がっていきます。 さらにその多様性が、微生物や昆虫などの多様化にもつながり、畑全体の環境を豊かにしていきます。
いにしえでは、この余白をつくる発想が、生態系の広がりの起点になると考えています。
- 一般のワインでは、品種の特徴に加えて、使用する酵母や醸造技術によって味を設計することが多い。
- 一般的なナチュラルワインでは、自然酵母や土地の個性を活かしながら味わいが生まれる。
では、いにしえはどう考えるか。
いにしえでは、果実につく酵母菌も多様で、畑ごとに違いがあると捉えています。
そのため、単一の性質に寄せるのではなく、多様な酵母の相乗効果によって味わいが生まれることを期待しています。
果実は鳥や哺乳類に種を運んでもらうために美味しい果肉をつける。 その本能的な流れを邪魔せず育てることで、より自然な美味しさが引き出されるはずだと考えています。 さらに、多様な生きものと関わり合うことで二次代謝が活発になり、香りや食味に広がりが出ることを期待しています。
- 一般のワインでは、狙った味に近づけるために、酵母や温度管理などで人が積極的にコントロールすることがある。
- 一般的なナチュラルワインでは、介入を減らし、自然な発酵に委ねる考え方がある。
では、いにしえはどう考えるか。
いにしえでは、醸造を酵母菌が優位に活躍する環境を整える場と捉えています。
果実のポテンシャルに依存する醸造だからこそ、人が急いでつくり込むのではなく、ゆっくりと酵母菌の働きを見守っていきます。
飲みやすく、体への負担が軽く、心地よく酔えること。 そして、人と語らう場に自然と寄り添うワインであること。
強い個性だけを競うのではなく、食卓や会話の中で、その時間を豊かにすること。 それが、いにしえにとっての一つの基準です。
生態適合農業による、生きものと共生する農業を広げていくためです。
私たちは、その農業を世界の1%へ広げたいと考えています。 面積でも、生産量でも、生産額でも、まずは1%。 ワインは、その考え方を伝えるための入り口であり、メッセンジャーでもあります。
味わいを支える、植物の二次代謝という視点
いにしえでは、ぶどうの香りや味わいの複雑さに、植物の二次代謝が深く関わっていると考えています。 植物には、生きるためだけなら必須ではない生成物があります。 けれど、その一見すると余剰に見える働きが、香りや食味の豊かさを生み出しているのではないか。 私たちはそう感じています。
多様な植物、微生物、虫、鳥、獣。 協力し、距離をとり、時に競いながら複雑な関係性が生まれる。 その関係性が豊かであるほど、植物の本能や二次代謝もより豊かに発揮され、見た目も味わいも魅力的な果実になっていくのではないか。 そんな仮説のもとで畑を育てています。
飲みやすさ、心地よさ、人と語らう時間へ
いにしえのワインが目指しているのは、ただ強い印象を残すワインではありません。 飲みやすく、体への負担が軽く、心地よく酔えること。 そして、人と語らう時間に自然と寄り添うことです。
ワイン単体で完結するのではなく、食事があり、会話があり、空気があり、その場を少し豊かにしてくれる存在でありたい。 それもまた、いにしえが大切にしている味わいの一部です。
- 自然なものを選びたい方
- 食事に寄り添うワインを探している方
- 強すぎる個性より、飲み心地のよさを大切にしたい方
- 造り手の考え方や畑の背景も含めて味わいたい方
- 飲むことを通して、自然や農業の未来にも関わりたい方
言葉だけでは伝わりきらない部分があります
ここまでお読みいただくと、ナチュラルワインにもいろいろな捉え方があることを感じていただけたかもしれません。 いにしえが大切にしているのは、自然に近づけることだけではなく、生きものたちの関係性が働く畑を育て、その中でぶどうを育てることです。
その違いは、言葉だけでは伝えきれない部分があります。 実際に飲んでいただくことで、飲みやすさや香りの広がり、食事との寄り添い方、心地よい酔い方などを、より感じていただけると思います。